暴力の果て

ガザが悲惨なことになっている。始まりは武装組織ハマスによるイスラエル侵攻だった。

音楽祭がクローズアップされているけれど、BBCをはじめ各種報道をみると侵攻が緻密に計算されたものだったのが分かる。ハマスの戦闘員がイスラエルに侵入した地点は7か所あり、複数の検問所に対する直接攻撃が連携をとって行われた。また、ハマスは今回は短時間の間に数千発を一気に発射することでイスラエルの鉄壁と思われた防空システムを回避した。

どこかの国や組織が支援しないとこれはできないことで、イスラエルは昨夜シリアを攻撃した。これにイランが参加すればアメリカも黙っていず、それは米国の同盟国である韓国、日本に飛び火する話となる。

私はハマスの攻撃を支持しない。宗教、経済、政治に起因する不公平、不条理さは世界中にありそれを暴力で是正しようとすればより大きな犠牲を産むからだ。

一方でここまでの事態に追い込んだ責任はイスラエルにある。今日の日経新聞に慎泰俊さんも指摘しておられたが、過去15年の間、イスラエル人に殺されたパレスチナ人は、パレスチナ人によって殺されたイスラエル人の20倍以上である。

ガザ自治区の地図をみるとそこが天井のない監獄と言われるゆえんが分かる。イスラエルが作った塀やフェンスに囲まれ、今回の衝突前から出入りの自由がなく経済不振や失業が深刻で困窮した状態にあった。それだけではなく地理的な閉鎖性、西は海、北から東にかけてイスラエルと国境を接し、そして南はエジプトと接している。昨日アルジャジーラがツィッターで

Gaza Strip-nowhere to go, Egypt pushed back against proposals to establish corridors out of Gaza. ここが封鎖さされたままガザにイスラエルが攻撃を始めるなら、人口200万人のガザの人々は逃げ場を失う。これをジェノサイドと言わずに何というのだろう。

イスラエルの国防相は9日、ガザを「完全包囲」し、電気、食料、水、ガスを遮断すると宣言した。「我々は動物たちと戦っておりそれに応じて行動する」と。

今回、イスラエルは徹底的にやるだろう。ガザ地区は廃墟と化すだろう。でも彼らが虐殺するのは人間である。アラブ人としてムスリムとして生きてきた人たちだ。その人を愛した人たち、仲間だと信じる人、同胞だと信じる人たちに激しい怒りと痛みを残す。ガザ地区への侵攻をアラブ社会、ムスリム社会は神への冒涜ととらえるのではないか。2-3年たてば次のハマスが必ずあらわれる。この地でイスラエルは終わりなき狂気にさらされ続ける。

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