見学して思ったこと~インターと日本公立校の違い~

極端な比較になるかもしれませんが、インター校を見学した中で感じた日本の公立校との違いを記憶があるうちにまとめておこうと思います。(ちなみにシンガポールの日本人小学校との比較ではありません)

私たち夫婦が感じた最も大きな違いは日本の公立校の方が先生の負担が圧倒的に重いこと、一方インター校(こちらのローカル校含む)では先生の努力がカリキュラムにフォーカスされ、子供たちが何を学ぶのかが非常に明確であることです。言い換えると、先生が授業の準備に集中できるような環境であるということです。
これは小学校に限らずこちらの保育園との比較においても感じることです。

例えば、

  • クラス人数:日本の公立校は小1及び小2は1クラス35人。それ以降は上限40人。一方シンガポールローカル校は小学校は29人、中学校は33-34人。インターは大体20人前後が1クラスのサイズ。
  • 日々の連絡の仕方(保育園限定です):日本は毎日先生が事細かに記載する。一方、こちらはWhatapp(LINEに似たアプリ)で写真を共有する。先生からみてよほどの心配事がある場合には別途連絡が来る。親の方も同様に伝えたいことがある場合には直接先生に連絡をする。平穏な日々の出来事の共有に時間を割かない。
  • 行事の完成度:日本では運動会や発表会、部活など先生がおそらく残業をして完成度を高めていく。こちらは残業をしてまでは完成度を高めないだろうし、もし完成度を上げたいなら、パーティーを専門に請け負う業者がいるのでその業者がイベントを担う。
  • 部活動:日本のような熱心さでは行わない。本当にプロフェッショナルにやりたい生徒は学外で習う。

特に、インターやローカル校では先生の負担が軽くなる分、何を生徒が学ぶのか明確にされていると感じます。例えばよくある「Show & Tell」。毎週テーマを与えられまして、それがおもちゃなら特徴を3つ考えて行ってお友達にあててもらいます。そしてなぜそのおもちゃを選んだのかをみんなの前で話します。表現する力を伸ばすことが狙いです。一方、日本の保育園では「特に何も子供たちには教えてません」と言い切る園がほとんどだと思います。従来のやり方を変えるのはエネルギーがいりますし、そもそも変えるべきかどうか先生たちに考える時間がないのだと思います。そして日本の公立小も一クラス35人もいれば先生も日々のクラスを回すことに手いっぱいになってしまうのではないでしょうか。

本日の日経新聞の社説は「小中高に専門知持つ多様な人材を」。デジタル化時代を見据えてプログラミング等を教えられる人材を教員免許の有無にかかわらず多様に確保しようとのことでした。その記事の中で、以下の記載がありました。

経済協力開発機構(OECD)調査によると、日本の中学教員の仕事時間、事務作業が突出して世界最長だった。一方、自己研さんのための「職能開発活動」は最短。

友人に公立高校の先生がいます。部活動、修学旅行等その働きぶりはものすごくハードでした。担当する部活動によっては平日の放課後や、土日、夏休みも働かなくてはいけません。また修学旅行も事前に一度見に行かなくてはいけないとのこと。彼女をみていると授業の改善とかにかけられる時間は本当にわずかだろうなと思います。

日本の先生の方がきめ細かく、熱心な人が多いと感じます。ただやる事が多すぎる。日本の教育プログラムも優れているはずなのに、先生たちが雑事で疲弊し、本業の方にまで手が回っていない感じました。多様な人材を採用するのは素晴らしいことですが、何を残し、何を捨てるのかをもう少しはっきりさせないと人材を活かしきれないのではと思います。

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