現在、日本のニュースが日韓問題一色なら、シンガポールのニュースは香港の問題一色です。シンガポールは香港から来ている人も多いし、香港に働きに行く人も多い。遊びに行く人も多い。おそらく多くの人が天安門事件の再来にならないか懸念しているはずです。
さて一見平和に見えるシンガポールですが、実はたくさんの外交問題があります。
隣国マレーシアとはペドラ・ブランカ島をめぐって領有権を争っており、国際司法裁判所の仲介でようやく2008年に決着がつきました。その年数なんと28年。また水資源をマレーシアに依存しているため、それをめぐってたびたび喧嘩が起きていますし(この4月もマレーシアが水値上げを要求)、長年やるやるといっている高速鉄道はマハティール首相になったとたん、白紙に。
これまた隣国インドネシアとの関係も一筋縄というわけではなく長らくインドネシアでは華人が差別されてきました。中華系の二人の知り合いがいますが、学校ではマンダリンを習うことが禁止されていたそうです。
一方で現在は取得が困難な永住権ですが、マレーシア人とインドネシア人はかなり容易に取得できます。もちろんヘイトは禁止。清濁併せ呑む政策をシンガポールはとっていると感じています。そうでもしないと何も前進しないのでしょう。
様々な人種、宗教がまじりあうシンガポールでどのように最近の日韓関係を論じているのかパラパラみていたらこんなフレーズがありました。
The Straits Timesの8月5日付のJapan cancels art exhibition with ‘comfort women’ statueという記事の中で
The two countries – both democracies and market economies – are also mired in long-running disputes over the use of forced labour during World WarⅡ.
最近、はらはらしながら日韓のニュースを見る機会が増えました。昨年の徴用工の判決が出た時から輪をかけて悪くなった日韓関係。国際司法裁判所に持ち込むのかと思いきや半導体の輸出規制を打ち出してしまいました。軍事転用を防ぐためだとかなんとか言われていますが、重大な政策決定のプロセスが不透明なのといきなりすぎてそういう外観には全く見えない。
司法の問題は司法の場で解決するしかないでしょう(ちなみにマレーシアとシンガポールの水値上げ問題も両国間では拉致があかないので国際的な仲裁機関に持ち込まれる可能性大)。
大事なのは日本が恣意的な政策決定をする国だと海外から思われないことです。ただでさえ英語圏ではないハンデを負う日本が本当に世界に開かれた国になりたいのであれば政策決定がクリアであることは必須だと思います。
ルールが恣意的に運用されない、分かりやすい、汚職がないというのが日本の大きな長所だと思います。なぜその印象を自らの手で壊してしまったのか本当に残念です。